・業務上横領罪とは何か知りたい
・具体的にどういったケースが業務上横領に当たるのか知りたい
・業務上横領罪の罪の重さについて知りたい
日本には様々な刑事罰がある中で、その中でも仕事に関連するものも存在しています。
特に知的な犯罪と言われる罪の1つが業務上横領罪と呼ばれるものになります。
これを一言で言うならば、仕事上で他人のものを預かっているスタッフなどが、それを懐に入れてしまう行為を意味しています。
業務上横領罪の構成要件
具体例をいくつか挙げると、例えば会社の集金等でお金を集めた時、あまりにもたくさんのお金があることに下心が出てしまうことがあるかもしれません。
通常はそのような事はありませんが、現在借金をしており今すぐにでも返済しなければならない人は、とにかく人からお金を借りるしかありませんが、すぐ目の前にあるお金に思わず目をつけてしまい、それを懐に入れてしまうわけです。
集金が1,000,000円位あった場合、100,000円位ならば構わないだろうなどと自分の財布に入れてしまった場合、その瞬間に業務上横領罪の構成要件に該当します。
ちなみに、刑事罰が与えられる場合には刑法の構成要件に該当する必要があります。
例えば、窃盗に関する罪の場合はものを盗んだことが構成要件と言うわけです。
業務上横領に関しては、業務上他人の物を自分のものにしてしまった場合が構成要件と言うわけです。
構成要件に該当し違法性がなければいけない
まず構成要件に該当し、違法性がなければいけません。
逆に言えば、違法性阻却事由があれば特に問題なく法律に該当しないことになり、裁判でも無罪どころか起訴されない可能性があります。
この違法性阻却理由とは、例えば正当防衛などがこれに該当します。
横領において正当防衛はなかなか成立しにくいですが、よくあるのは傷害罪などです。
相手が殴りかかってきた所でそれを受けて自分が相手を殴る行為は、確かに自分が殴る行為だけを見れば傷害罪の構成要件に該当する可能性があります。
ところが、もともとその傷害罪が成立する行為そのものは相手が殴りかかってきたからであり自分から行ったわけではありません。
この場合には、違法性阻却事由にあたり仮に構成要件に該当したとしてもその段階で成立しないことになるわけです。
ちなみに、相手が殴りかかってきたところこちらがナイフで相手を刺した場合にはそれ自体は過剰防衛と言うものになります。
違法性阻却事由に該当しないものの、多少減免される可能性があるでしょう。
責任阻却事由について
そして最後に、責任がなければいけません。
責任阻却事由と呼ばれるものもあり、例えば全く意識のない状態で行った者がこれに該当する可能性があります。
ただ、なかなか責任が阻却される事は無いため、注意をしなければいけません。
横領罪で言えば、どれぐらいの金額かを問わずとにかく成立すると言っても良いでしょう。
例えば先程の1,000,000円を預かった場合、1,000,000円全てを取ろうとたった100,000円だけであってもどちらにしても成立することは間違いありません。
それならば、100,000円ではなく1,000,000円を取った方が良いと考える人がいますが、成立する事は間違いないものの、刑罰に違いが出ます。
懲役刑と禁固刑の違い
ちなみに、刑罰は懲役10年以下となっており懲役刑と呼ばれるものに該当するでしょう。
懲役刑と言うのは、禁固刑と異なり刑務所に入って働くことが大前提になります。
禁固刑の場合は、特に働く必要はありませんが実際に禁固刑を下された場合でもあまりにも暇すぎるため働かしてほしいなどと述べる罪人がいるわけです。
この懲役10年以下と呼ばれるものは非常に曖昧なものになりますが、この点は裁判官が最終的に決めるものです。
総合的に判断をしできるだけ週間を排除した客観的な内容だけで決めるため、比較的多くの人が納得できる結論になることが多いです。
金額や回数等によって何年ぐらいになるか変わってくる
しかしながら、裁判官も人間でありまたその結果を聞いた人も人間です。
横領された側からは、刑が軽いなどと言われるかもしれません。
逆に、その横領罪に該当し罰せられた人やその親族の人は刑が重いなどと言うことがあるでしょう。
万人に納得できる判決を出す事は難しいですが、金額や回数等によって何年ぐらいになるか変わってくるところです。
例えば、かなり多額の金額例えば1億円のお金を何回かにわたり横領した場合には懲役10年それに近くなる可能性があります。
しかし上記の例のように、たった1回だけ100,000円のお金を横領したときには、3年以下になるケースもあり、執行猶予が付くケースも少なくありません。
ちなみに、1度懐に入れたお金をやはり悪いことをやめようと考え会社に戻ってから戻した場合は、成立しない可能性もありますがとりあえず構成要件には該当すると言って良いでしょう。
この場合には、違法性で阻却される可能性もあるかあるいは周りの人にばれていなければそもそも犯罪自体が成立しない可能性が高いです。
まとめ
もしばれてすぐに戻した場合でも成立する可能性はあるものの、会社の経営者が警察に電話を押しすぐに捕まえるように述べるケースは少ないかもしれません。
温情で目をつぶる事があることもありますが、強いお叱りを受けて二度と次回はしないように伝えるか、あるいはその場でクビになるでしょう。