労働問題、これは企業と従業員の間に生じるトラブルや職場などで起きてしまう従業員間のトラブルの総称です。
例えば、過重労働やパワハラ、解雇や懲戒処分などのトラブルが代表的なものです。
企業内紛争などの理由からも、事業に対して大きな影響を与えるケースがあり、平素から紛争を予防するための予防法務および問題が発生した際に迅速に対応できるよう解決策でもある臨床法務の両者が欠かせないとされます。
予防法務とは
予防法務とは、会社が法的な紛争を避ける目的や法的な紛争が起きても速やかに解決できるよう予防を目的とした取り組み全般です。
契約書や就業規則の整備、自社内の知的財産権や債権の管理、日々の法令遵守体制の整備や従業員に対して行われるコンプライアンス研修などの活動が予防法務です。
最近は、予防法務は中小企業にとって常識的なものになっていて、予防法務に取り組みを行わなければ契約のトラブルをはじめ、労務や知的財産、法令違反などの様々なトラブルが起きてしまう、これにより事業の発展が閉ざされてしまうことも少なくありません。
予防法務の重要な2つのポイント
紛争を事前に回避することで、自社の貴重なリソースを紛争解決のために使わなくても良い環境にする、紛争が起きた際にも自社に不利益な解決になることを避けられるようにする、この2つの側面が重要なポイントです。
法務面があまり強くない会社などでは、トラブルが発生してから臨床法務だけの対応になってしまうケースが多く、紛争が起きてから弁護士に依頼したとしても、その前段階で会社として間違った判断をしているのでは敗訴を避けることは難しいといいます。
ケースにもよりますが、多額の賠償責任の負担が生じてしまい会社の倒産の危機に直面しないとはいい切れません。
法的知識の不足および誤解などが原因で起きるもの、日ごろより顧問弁護士への相談を行うなど予防法務に取り組みを行っておけば防御は可能です。
予防法務の具体例
具体例の中には、うつ病を発症した従業員が求職していたけれども、その従業員が復職を強く希望して会社側もそれを認めた、しかし本人の病気が悪化して最終的に自殺してしまったケースがあります。
この具体例では、安易に復職を認めたと遺族から責任を問われてしまう、敗訴となり3,000万円の支払いを命じられました。
逆に、復職を認めずに退職扱いにした従業員からは不当解雇であると訴えられてしまい、企業が敗訴になるケースが多発しているようです。
敗訴した際には企業側は1,000万円を超える支払いを命じられるケースも多いなど注意が必要です。
労働問題は深刻化する前にテコ入れを行うこと
労働問題を放置してしまうと問題が深刻化する、トラブルが起きることで事業にも専念ができなくなる、トラブルを嫌う退職者が急増する、会社内の規律がルーズになってしまったり従業員が上司もしくは経営者の指示に従わなくなるなどの問題が発生しやすくなります。
そのため、労働問題は深刻化する前にテコ入れを行うことがポイント、日ごろから労働問題を予防するための取り組みが重要です。
まとめ
パワハラやセクハラ、職場内でのいじめや嫌がらせ、これらのトラブルは当事者同士だけの問題ではなく起業の安全配慮義務違反もしくは職場環境整備義務違反の形で企業側に責任が問われてしまいます。
ハラスメントの発生段階では、会社側として必要な調査を速やかに行いその上で必要に応じて被害者に対するケアおよび加害者に対する指導、懲戒処分などを行うことが法律の中での義務です。
人事異動や出向などでのトラブルも労働問題に発展するケースがあります。
転勤や配置転換、他社への出向などをはじめ降格や降職なども労働問題に繋がるケースがあるので、これらは弁護士に対して事前に相談を行い就業規則や法律のルールを守り適切な形で行うことが大切です。